データ深掘り

コロナは家庭ごみを増やし、事業系ごみを減らした
——全国データで見る5年間

公開日:2026年9月16日/出典:環境省 一般廃棄物処理事業実態調査(令和元〜6年度)

日本ごみ処理ダッシュボードで年度を切り替えながら全国合計を見ると、ある年だけ家庭系ごみと事業系ごみのバランスが大きく崩れていることに気づきます。令和2年度、新型コロナウイルス感染拡大にともなう外出自粛が本格化した年です。全国の家庭系ごみは前年から約57万t増加した一方、事業系ごみは約137万t(10.5%)も減少しました。この「ねじれ」は、5年かけてどう推移したのでしょうか。

+57万t
家庭系ごみの増加量(R1→R2)
▲137万t
事業系ごみの減少量(R1→R2、-10.5%)
0.469
事業系/家庭系比率(R6、R1超えの水準に回復)

令和2年度、事業系ごみだけが急減した

全国の市区町村を合計すると、令和元年度の家庭系ごみは2,780.6万t、事業系ごみは1,302.2万tでした。ところが令和2年度になると、家庭系ごみは2,837.3万tに増えた一方、事業系ごみは1,165.3万tまで落ち込みます。事業系ごみと家庭系ごみの比率(事業系÷家庭系)は、令和元年度の0.468から令和2年度には0.411まで低下しました。

飲食店やオフィス、店舗などから出る事業系ごみが減り、家庭から出る家庭系ごみが増える——これは、緊急事態宣言や外出自粛によって「外で消費する生活」から「家の中で消費する生活」へと、社会全体のごみの発生源が一時的にシフトしたことを裏付けるデータです。

全国合計の家庭系・事業系ごみ排出量の推移(環境省データより)
年度 家庭系ごみ 事業系ごみ 事業系/家庭系比率
R12,780.6万t1,302.2万t0.468
R22,837.3万t1,165.3万t0.411
R32,765.3万t1,170.6万t0.423
R42,689.4万t1,193.5万t0.444
R52,572.1万t1,185.4万t0.461
R62,506.5万t1,174.5万t0.469

1人あたりで見ても「巣ごもり」は表れている

人口減少が続く中でも、1人1日あたりの家庭系ごみ排出量は令和元年度の599.1gから令和2年度には613.3gへと増加しています。これは全国的な人口減少のトレンドに反して増えた、数少ない年です。令和3年度以降は再び減少に転じ、令和6年度には551.6gまで下がりました。人口減少に加えて、家庭ごみの削減も進んでいることが分かります。

ポイント :令和2年度は「総排出量」で見ると事業系の減少が家庭系の増加を上回り、全体としてはごみが減ったように見えます。しかし中身を分解すると、住民の生活行動が大きく変わった年だったことが読み取れます。

5年かけて「元の生活」に戻った、いや、それ以上に

注目すべきは令和6年度の数字です。事業系/家庭系比率は0.469まで回復し、実はコロナ前の令和元年度(0.468)をわずかに上回りました。事業系ごみは令和2年度を底に緩やかに増加を続け、家庭系ごみは人口減少や節約志向を背景に減少を続けています。オフィス回帰や外食・観光需要の回復が、事業系ごみという形で数字に表れていると考えられます。

一方で総排出量そのものは令和元年度の4,082.8万tから令和6年度の3,681.1万tまで、一貫して減少を続けています。コロナ禍による一時的な「ねじれ」はあったものの、長期的なごみ排出量の減少トレンド自体は途切れていません。

この事例から学べること

単年度のランキングだけを見ていると、令和2年度のような「事業系ごみが少ない年」を、そのまま自治体の努力の成果と誤読してしまう可能性があります。経年推移で全国の動きと比較することで、個々の自治体の変化が構造的な要因(コロナ禍のような社会全体の出来事)によるものか、その自治体固有の取り組みによるものかを見分けやすくなります。

本サイトのダッシュボードでは、都道府県・市区町村ごとに令和元〜6年度の推移グラフを確認できます。気になる自治体の事業系・家庭系の内訳が、コロナ禍でどう動いたか比べてみてください。

全国・都道府県・市区町村の家庭系/事業系ごみの推移を、グラフで詳しく見てみましょう。

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