データ深掘り

過疎地なのにごみが多い3つの町
理由は三者三様だった

公開日:2026年9月16日/出典:環境省 一般廃棄物処理事業実態調査(令和元〜6年度)

日本ごみ処理ダッシュボードで1人1日あたりごみ排出量の上位を見ると、人口減少が続く北海道夕張市・根室市、長崎県新上五島町が名を連ねています。過疎地では総排出量が減るのは当然としても、1人あたりの排出量まで多いのはなぜでしょうか。3つの町のデータを見ていくと、それぞれまったく異なる背景が浮かび上がってきました。

1,847.5g
夕張市 1人1日排出量(R6、全国平均の約2.2倍)
1,508.9g
根室市 1人1日排出量(R6)
1,407.9g
新上五島町 1人1日排出量(R6)

夕張市:人口減少と反比例するように事業系ごみ比率が上昇

財政破綻からの再生で知られる夕張市は、令和元年度から令和6年度の6年間で人口が7,907人から6,224人へ約21%減少しました。ところが1人1日あたり排出量は1,156.9gから1,847.5gへ、約60%も増加しています。人口が減っているのに1人あたりの排出量が増えるのは、事業系ごみの比率が同時に急上昇しているためです。事業系/生活系比率は0.8倍(R1)から1.54倍(R6)へとほぼ倍増しました。

夕張市の人口と1人1日排出量の推移(環境省データより)
年度 人口 1人1日排出量 事業系/生活系比率
R17,907人1,156.9g0.80
R36,959人1,597.6g1.17
R66,224人1,847.5g1.54

人口が小さい自治体ほど、特定の施設や事業所からまとまった量の事業系ごみが出ると、統計上の比率が大きく動きやすくなります。夕張市の場合、市内に大きな観光・医療・福祉関連の施設が存在すれば、人口減少が進んでも施設由来の事業系ごみは急には減らず、結果として1人あたりの数字を押し上げる構造になっていると考えられます。

根室市:水産加工業由来とみられる、安定した高比率

日本有数の漁港を抱える根室市は、事業系/生活系比率が0.63倍(R1)〜0.69倍(R6)と、全国平均(0.39〜0.47倍程度)を上回る水準で安定して推移しています。夕張市のような急激な変化ではなく、緩やかな上昇にとどまっている点が特徴です。水産加工業が地域の基幹産業である根室市では、水揚げ・加工にともなう事業系ごみが年間を通じて安定的に発生しており、これが1人あたり排出量を押し上げている可能性があります。

新上五島町:事業系ではなく、生活系ごみが中心

長崎県の離島、新上五島町は事情がまったく異なります。事業系/生活系比率はわずか0.07〜0.09倍と、他の2市よりもむしろ全国平均を下回る低さです。つまり新上五島町の高い排出量は、事業系ごみではなく生活系ごみが主体だということになります。しかも1人1日排出量は令和元年度の1,592.9gから令和6年度には1,407.9gへと、緩やかに減少する傾向にあります。

離島特有の構造の可能性 :本土から離れた離島では、収集運搬の効率がどうしても本土より劣りやすく、また海岸に漂着する海洋ごみの処理を一般廃棄物として扱っているケースもあります。新上五島町の高い生活系ごみの水準は、こうした離島特有の事情が影響している可能性がありますが、本サイトのデータだけでは特定できません。
3町の事業系/生活系比率比較(令和6年度、環境省データより)
自治体 事業系/生活系比率 主な傾向
夕張市1.54倍事業系ごみが急増
根室市0.69倍事業系ごみがやや多い(安定)
新上五島町0.09倍ほぼ生活系ごみ(全国平均より事業系は少ない)
本サイトが利用する環境省データには、各自治体の主要産業や施設の詳細、海洋ごみの計上方法までは含まれていません。上記の解説はデータから読み取れるパターンにもとづく仮説であり、断定するものではありません。

この事例から学べること

「1人1日あたり排出量が多い」という同じ現象でも、その背景は自治体によってまったく異なります。事業系ごみの内訳(急増か、安定した高水準か)や、生活系ごみの動向まで分解して見ることで、単純な「過疎地だから」では片付けられない、それぞれの地域固有の事情が見えてきます。

本サイトのダッシュボードでは、区分別・年度別に自治体データを比較できます。人口が少ないのに排出量が多い自治体を見つけたら、事業系・生活系の内訳を確認してみてください。

人口減少地域のごみ排出パターンを、区分別・年度別に詳しく見てみましょう。

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