過疎地なのにごみが多い3つの町
理由は三者三様だった
日本ごみ処理ダッシュボードで1人1日あたりごみ排出量の上位を見ると、人口減少が続く北海道夕張市・根室市、長崎県新上五島町が名を連ねています。過疎地では総排出量が減るのは当然としても、1人あたりの排出量まで多いのはなぜでしょうか。3つの町のデータを見ていくと、それぞれまったく異なる背景が浮かび上がってきました。
夕張市:人口減少と反比例するように事業系ごみ比率が上昇
財政破綻からの再生で知られる夕張市は、令和元年度から令和6年度の6年間で人口が7,907人から6,224人へ約21%減少しました。ところが1人1日あたり排出量は1,156.9gから1,847.5gへ、約60%も増加しています。人口が減っているのに1人あたりの排出量が増えるのは、事業系ごみの比率が同時に急上昇しているためです。事業系/生活系比率は0.8倍(R1)から1.54倍(R6)へとほぼ倍増しました。
| 年度 | 人口 | 1人1日排出量 | 事業系/生活系比率 |
|---|---|---|---|
| R1 | 7,907人 | 1,156.9g | 0.80 |
| R3 | 6,959人 | 1,597.6g | 1.17 |
| R6 | 6,224人 | 1,847.5g | 1.54 |
人口が小さい自治体ほど、特定の施設や事業所からまとまった量の事業系ごみが出ると、統計上の比率が大きく動きやすくなります。夕張市の場合、市内に大きな観光・医療・福祉関連の施設が存在すれば、人口減少が進んでも施設由来の事業系ごみは急には減らず、結果として1人あたりの数字を押し上げる構造になっていると考えられます。
根室市:水産加工業由来とみられる、安定した高比率
日本有数の漁港を抱える根室市は、事業系/生活系比率が0.63倍(R1)〜0.69倍(R6)と、全国平均(0.39〜0.47倍程度)を上回る水準で安定して推移しています。夕張市のような急激な変化ではなく、緩やかな上昇にとどまっている点が特徴です。水産加工業が地域の基幹産業である根室市では、水揚げ・加工にともなう事業系ごみが年間を通じて安定的に発生しており、これが1人あたり排出量を押し上げている可能性があります。
新上五島町:事業系ではなく、生活系ごみが中心
長崎県の離島、新上五島町は事情がまったく異なります。事業系/生活系比率はわずか0.07〜0.09倍と、他の2市よりもむしろ全国平均を下回る低さです。つまり新上五島町の高い排出量は、事業系ごみではなく生活系ごみが主体だということになります。しかも1人1日排出量は令和元年度の1,592.9gから令和6年度には1,407.9gへと、緩やかに減少する傾向にあります。
| 自治体 | 事業系/生活系比率 | 主な傾向 |
|---|---|---|
| 夕張市 | 1.54倍 | 事業系ごみが急増 |
| 根室市 | 0.69倍 | 事業系ごみがやや多い(安定) |
| 新上五島町 | 0.09倍 | ほぼ生活系ごみ(全国平均より事業系は少ない) |
この事例から学べること
「1人1日あたり排出量が多い」という同じ現象でも、その背景は自治体によってまったく異なります。事業系ごみの内訳(急増か、安定した高水準か)や、生活系ごみの動向まで分解して見ることで、単純な「過疎地だから」では片付けられない、それぞれの地域固有の事情が見えてきます。
本サイトのダッシュボードでは、区分別・年度別に自治体データを比較できます。人口が少ないのに排出量が多い自治体を見つけたら、事業系・生活系の内訳を確認してみてください。
人口減少地域のごみ排出パターンを、区分別・年度別に詳しく見てみましょう。
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