データ深掘り

埼玉県日高市のリサイクル率はなぜ99.8%なのか?
「R」と「R'」の差から見える実態

公開日:2026年9月16日/出典:環境省 一般廃棄物処理事業実態調査(令和元〜6年度)

日本ごみ処理ダッシュボードのランキングで市区町村別リサイクル率を「降順」で見ると、全国トップは埼玉県日高市の99.8%(令和6年度)。全国平均が19.3%であることを考えると、驚異的な数字に見えます。しかし、環境省が公表するもう一つの指標「リサイクル率R'」で見ると、日高市はわずか14.6%。埼玉県平均(24.0%)さえ下回ります。この大きな差はどこから生まれるのでしょうか。

99.8%
リサイクル率 R(令和6年度)
14.6%
リサイクル率 R'(令和6年度)
0.25%
総排出量に占める最終処分量の割合

「R」と「R'」、2つのリサイクル率とは

環境省の統計では、リサイクル率を2種類の計算式で公表しています。「R」は直接資源化量+中間処理後再生利用量+集団回収量を分子とする、広い意味でのリサイクル率です。一方「R'」は、この中間処理後再生利用量から固形燃料化、焼却灰・飛灰のセメント原料化、セメント等への直接投入、飛灰の山元還元といった手法を除外して計算します。

簡単に言うと、R'は「焼却灰をセメントの原料にする」といった、狭義には資源循環と呼びにくい手法を差し引いた、より厳格な指標です。この2つの数字の差が大きい自治体ほど、リサイクル率の内訳の多くを「灰のセメント原料化」などが占めている、と読み取ることができます。

日高市の内訳から見えること

日高市の令和元〜6年度のデータを見ると、リサイクル率Rは毎年99.7〜99.8%とほぼ一定です。一方でR'は14.6〜16.2%の範囲で推移しており、大きな差が続いています。

日高市 リサイクル率R・R'の推移(環境省データより)
年度 リサイクル率 R リサイクル率 R' 最終処分量
R1 99.7% 15.9% 50t
R2 99.7% 16.2% 47t
R3 99.7% 14.7% 47t
R4 99.7% 15.3% 43t
R5 99.7% 15.1% 41t
R6 99.8% 14.6% 40t

この一貫したパターンから、日高市のリサイクル率Rが高いのは一時的な特殊要因ではなく、焼却灰のセメント原料化など、R'では除外される手法を主体とした資源化の仕組みを継続的に運用していることがうかがえます。

本当にすごいのはここ。 一方で、日高市の総排出量(令和6年度:約16,248t)に対して最終処分量(埋立処分)はわずか40t、割合にして0.25%しかありません。焼却以外の中間処理や直接資源化を含めた「減量処理率」は6年連続で100.0%。つまり、ごみのほぼ全量が焼却・資源化のいずれかで処理され、埋立処分に回るごみが極めて少ないという点は、数字の作り方によらない、純粋に優れた実績と言えます。

この事例から学べること

「リサイクル率」という一つの数字だけを見ると、自治体間の取り組みを単純に比較したくなります。しかし日高市の例が示すように、同じ「リサイクル率」という言葉でも、何を分子に含めるかで数字は大きく変わります。ある自治体の高いリサイクル率が、住民の分別協力による資源ごみの多さによるものなのか、焼却灰の処理方法によるものなのかは、R とR' を見比べることで初めて見えてきます。

本サイトのダッシュボードでは、市区町村ごとに「リサイクル率(R)」に加えて内訳データも確認できます。気になる自治体があれば、ぜひR'や最終処分率も合わせてチェックしてみてください。

日高市や他の自治体のデータを、地図・ランキング・推移グラフで詳しく見てみましょう。

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