データ深掘り

人口10万人の泉佐野市が
「観光地型」のごみ排出パターンを持つ理由

公開日:2026年9月16日/出典:環境省 一般廃棄物処理事業実態調査(令和元〜6年度)

日本ごみ処理ダッシュボードで事業系/生活系ごみの比率が高い自治体を見ると、箱根町や草津町のような小さな観光・温泉地が上位を占めます。その中に、人口約10万人という規模の大きな都市が1つ紛れ込んでいます。大阪府泉佐野市です。令和6年度の事業系/生活系比率は1.84倍。大阪市(1.42倍)を上回り、観光地の草津町(2.03倍)に迫る水準です。

1.8〜1.96倍
泉佐野市 事業系/生活系比率(R1〜R6のレンジ)
99,194人
泉佐野市の人口(R6)
1.09〜1.42倍
大阪市の同比率(R1〜R6のレンジ)

観光地と違い、コロナ禍でもほとんど揺れなかった

観光・温泉地の事業系ごみ比率は、観光需要の増減に敏感に反応します。箱根町は令和元年度の2.79倍からコロナ禍で2.24倍まで下がり、その後の観光回復とともに令和6年度には3.10倍まで上昇しました。草津町も1.98倍→1.48倍→2.03倍と同様の谷型の動きを見せています。

一方、泉佐野市の比率は令和元年度1.81倍、コロナ禍の令和2年度も1.86倍と、ほとんど下がっていません。その後も1.94倍・1.96倍・1.95倍・1.84倍と、6年間を通じて1.8倍台からほぼ動かない安定した高さを保っています。

事業系/生活系ごみ比率の推移比較(環境省データより)
年度 泉佐野市 大阪市 箱根町 草津町
R11.811.282.791.98
R21.861.092.241.48
R31.941.132.381.66
R41.961.252.651.93
R51.951.352.511.98
R61.841.423.102.03

観光需要が蒸発したコロナ禍でも下がらなかったという点は、泉佐野市の事業系ごみが、宿泊客や観光客の増減に左右されにくい別の要因によって発生していることを示唆しています。

関西国際空港という特殊な立地

泉佐野市は、関西国際空港の連絡橋が接続する対岸の市であり、空港関連の物流施設・事業所が数多く立地しています。国際線の旅客需要はコロナ禍で大きく落ち込んだ一方、航空貨物や空港運営に関わる事業活動は、観光客の増減ほど大きくは変動しませんでした。空港関連の事業所から恒常的に発生する事業系ごみが、泉佐野市の比率を年間を通じて押し上げている一因である可能性があります。

箱根町・草津町との違い :観光地の事業系ごみ比率は「観光客の増減」という変数に連動して大きく上下します。泉佐野市の比率が安定して高いことは、変動の少ない、より構造的な発生源(空港関連の事業活動など)が背景にある可能性を示しています。
本サイトが利用する環境省データには、事業所の業種別内訳や空港関連施設の廃棄物量は含まれていません。上記は事業系/生活系比率の安定性というパターンから導いた仮説であり、関西国際空港の存在を直接証明するものではない点にご留意ください。

この事例から学べること

事業系ごみの比率が高い自治体というと観光地を連想しがちですが、空港・港湾・工業団地といった特定のインフラを抱える都市でも、同様の現象が起こり得ます。コロナ禍のような外的ショックに対する反応の違いを見ることで、「観光由来」なのか「産業由来」なのかを見分けるヒントになります。

本サイトのダッシュボードでは、区分(生活系・事業系・合計)を切り替えて年度別に比較できます。人口規模の割に事業系ごみが多い自治体があれば、その土地の産業構造を調べてみると新しい発見があるかもしれません。

泉佐野市や近隣自治体のデータを、区分別・年度別に詳しく見てみましょう。

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