データ深掘り

ごみ処理費、東京は高くて当然?
奈良・島根がトップという逆転現象

公開日:2026年9月16日/出典:環境省 一般廃棄物処理事業実態調査(全期間合計(令和元〜6年度))

日本ごみ処理ダッシュボードで都道府県別の「ごみ処理原価(1t当たり処理費用)」を見ると、直感に反する結果が出てきます。地価も人件費も高いはずの東京都は73,566円/tで全国3位。それを上回るのが、奈良県(87,575円/t)と島根県(82,373円/t)です。一方で、地方の県でありながら富山県は37,239円/tと全国最安値。「都会は高い、田舎は安い」という単純な図式では説明できない構造が見えてきます。

87,575円
奈良県のごみ処理原価(全国1位)
73,566円
東京都のごみ処理原価(全国3位)
37,239円
富山県のごみ処理原価(全国最安)

コストの高い都道府県トップ10

全期間(令和元〜6年度)合計で見た都道府県別のごみ処理原価は、以下のようになっています。

ごみ処理原価(1t当たり)トップ10(環境省データより)
順位 都道府県 処理原価
1位奈良県87,575円/t
2位島根県82,373円/t
3位東京都73,566円/t
4位滋賀県69,262円/t
5位徳島県67,186円/t
6位長崎県66,964円/t
7位鳥取県66,126円/t
8位広島県63,955円/t
9位佐賀県63,338円/t
10位北海道62,470円/t

東京都が上位に入ること自体は、高い人件費や地価、厳しい環境基準を満たす高度な処理施設の維持費などを考えれば納得できます。しかし、それを上回る奈良県・島根県の存在は、別の要因を考える必要があります。

「スケールメリットが働きにくい」という仮説

奈良県・島根県に共通するのは、人口規模の小さな自治体が数多く存在する県であるという点です。奈良県は山間部の吉野郡を中心に人口数千人規模の町村を多く抱え、島根県も離島・中山間地域の小規模自治体が多い県です。ごみ処理施設は一定の処理量があってこそ1t当たりのコストが下がる「規模の経済」が働きやすい設備です。小規模な自治体が単独、あるいは小さな広域組合単位で焼却施設を運営している場合、大都市の大規模施設に比べて1t当たりのコストが割高になりやすいと考えられます。

対照的に、全国最安の富山県は、県内で広域的なごみ処理体制の再編・集約を進めてきたことで知られています。人口規模で見れば奈良県(約130万人)と富山県(約101万人)はさほど変わりませんが、処理原価は倍以上の差があります。処理施設の集約度合いが、単純な人口や都市・地方の区分以上に、コストを左右している可能性があります。

「都会=高い」も一部は正しい :東京都・神奈川県・大阪府など大都市圏は軒並みランキング上位〜中位に入っており、大都市であること自体もコストを押し上げる要因の一つであることは間違いなさそうです。ただし、それを上回る要因として、施設の規模・集約度が存在することがこのランキングから見えてきます。
本サイトが利用する環境省データには、各都道府県内の焼却施設の数や規模、広域処理組合の構成といった情報は含まれていません。上記の「規模の経済」に関する説明は、人口規模や地理的特性から推測した仮説であり、施設単位のデータで検証したものではない点にご留意ください。

この事例から学べること

ごみ処理コストは、都市か地方かという単純な軸だけでは説明できません。人口密度や地価に加えて、処理施設をどれだけ広域で集約・共同運用しているかという「体制」の違いが、コストに大きく影響している可能性があります。

本サイトのダッシュボードでは、都道府県別に処理原価をランキング・地図で確認できます。人口規模が近い都道府県同士を比較してみると、体制の違いが見えてくるかもしれません。

都道府県別のごみ処理原価を、ランキングと地図で詳しく見てみましょう。

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