山口県のリサイクル率はなぜ
1年で10ポイント消えたのか
日本ごみ処理ダッシュボードで都道府県別リサイクル率の推移グラフを見ていくと、山口県だけ不自然な折れ線を描いていることに気づきます。令和3年度まで30%台前半で安定していたリサイクル率が、令和4年度に22.7%まで一気に下落。1年間で約9.8ポイントも消えたことになります。一時的な誤差にしては大きすぎるこの変化、何が起きたのでしょうか。
県内のほぼ全市町で、同じ年に同時多発
この下落が「一部の自治体の特殊事情」でないことは、市町別データを見ると一目瞭然です。人口10万人を超える主要市を含め、県内のほぼすべての市町でリサイクル率が令和3→4年度にかけて同時に、しかも同規模で下落しています。
| 市 | R3 | R4 | 下落幅 |
|---|---|---|---|
| 岩国市 | 39.5% | 22.1% | -17.4pt |
| 下関市 | 38.4% | 21.6% | -16.8pt |
| 宇部市 | 27.9% | 11.2% | -16.8pt |
| 山口市 | 33.6% | 23.7% | -9.8pt |
| 周南市 | 30.1% | 21.3% | -8.9pt |
しかも、この間の総排出量はほぼ横ばいです。例えば下関市の総排出量は93,190t(R3)→91,547t(R4)とわずかな減少にとどまり、リサイクル率の下落幅ほど大きくは動いていません。つまり「ごみが減ったからリサイクル率が下がった」わけではなく、資源化されたと計上される量そのものが急減したことになります。
厳格な指標「R'」でも同時に下落——定義の問題だけではない
本サイトの日高市の記事で紹介したように、リサイクル率には「R」と、より厳格な「R'」(焼却灰のセメント原料化などを除外した指標)の2種類があります。R'も同時に大きく下落しているなら、これは単なる指標間の定義の違いではなく、資源化の実態そのものが変化した可能性が高くなります。
| 市 | R3 | R4 | 下落幅 |
|---|---|---|---|
| 下関市 | 27.7% | 11.0% | -16.7pt |
| 宇部市 | 27.9% | 9.8% | -18.1pt |
| 岩国市 | 31.7% | 13.8% | -17.9pt |
| 周南市 | 25.4% | 16.5% | -8.9pt |
RだけでなくR'も同じタイミングで、同じような幅で下落している——これは日高市のケースとは異なるパターンです。焼却灰の扱いといった計算方法の違いでは説明できず、県内の複数の自治体が共有していた資源化の仕組み(広域処理施設や資源化事業者への持ち込みなど)に、令和4年度前後で何らかの変化があった可能性を示唆しています。
この事例から学べること
単一の自治体の数字だけを見ていると気づきにくい変化も、同じ地域の複数自治体を横串で比較すると、統計上の「事件」が見えてくることがあります。山口県のケースは、リサイクル率という指標が、住民の分別行動だけでなく、広域的な処理・資源化の仕組みにも大きく左右されることを示す好例です。
本サイトのダッシュボードでは、都道府県内の市区町村を一覧で比較できます。気になる地域があれば、周辺自治体と合わせて推移を確認してみてください。
山口県内の市町別リサイクル率の推移を、ランキングとグラフで詳しく見てみましょう。
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