データ深掘り

山口県のリサイクル率はなぜ
1年で10ポイント消えたのか

公開日:2026年9月16日/出典:環境省 一般廃棄物処理事業実態調査(令和元〜6年度)

日本ごみ処理ダッシュボードで都道府県別リサイクル率の推移グラフを見ていくと、山口県だけ不自然な折れ線を描いていることに気づきます。令和3年度まで30%台前半で安定していたリサイクル率が、令和4年度に22.7%まで一気に下落。1年間で約9.8ポイントも消えたことになります。一時的な誤差にしては大きすぎるこの変化、何が起きたのでしょうか。

32.5%
山口県リサイクル率(R3)
22.7%
山口県リサイクル率(R4、-9.8pt)
21.5%
山口県リサイクル率(R6、下落後も横ばい)

県内のほぼ全市町で、同じ年に同時多発

この下落が「一部の自治体の特殊事情」でないことは、市町別データを見ると一目瞭然です。人口10万人を超える主要市を含め、県内のほぼすべての市町でリサイクル率が令和3→4年度にかけて同時に、しかも同規模で下落しています。

山口県内 主要市のリサイクル率R(環境省データより)
R3 R4 下落幅
岩国市39.5%22.1%-17.4pt
下関市38.4%21.6%-16.8pt
宇部市27.9%11.2%-16.8pt
山口市33.6%23.7%-9.8pt
周南市30.1%21.3%-8.9pt

しかも、この間の総排出量はほぼ横ばいです。例えば下関市の総排出量は93,190t(R3)→91,547t(R4)とわずかな減少にとどまり、リサイクル率の下落幅ほど大きくは動いていません。つまり「ごみが減ったからリサイクル率が下がった」わけではなく、資源化されたと計上される量そのものが急減したことになります。

厳格な指標「R'」でも同時に下落——定義の問題だけではない

本サイトの日高市の記事で紹介したように、リサイクル率には「R」と、より厳格な「R'」(焼却灰のセメント原料化などを除外した指標)の2種類があります。R'も同時に大きく下落しているなら、これは単なる指標間の定義の違いではなく、資源化の実態そのものが変化した可能性が高くなります。

山口県内 主要市のリサイクル率R'(環境省データより)
R3 R4 下落幅
下関市27.7%11.0%-16.7pt
宇部市27.9%9.8%-18.1pt
岩国市31.7%13.8%-17.9pt
周南市25.4%16.5%-8.9pt

RだけでなくR'も同じタイミングで、同じような幅で下落している——これは日高市のケースとは異なるパターンです。焼却灰の扱いといった計算方法の違いでは説明できず、県内の複数の自治体が共有していた資源化の仕組み(広域処理施設や資源化事業者への持ち込みなど)に、令和4年度前後で何らかの変化があった可能性を示唆しています。

一方で、最終処分量は減り続けている :下関市を含む県内の最終処分量の合計は、令和3年度の24,360tから令和6年度には18,453tまで、一貫して減少しています。処理費用(1t当たりコスト)はこの間に46,789円→57,933円へ上昇しており、資源化量が減った分を焼却や別の処理でカバーしている可能性がうかがえます。
本サイトが利用する環境省データには、個別の資源化施設の稼働状況や、都道府県による報告方法の変更点までは含まれていません。上記は複数市町で共通して起きた変化のパターンから読み取れる仮説であり、特定の施設や制度変更を断定するものではありません。実際の背景については、山口県や各市の廃棄物処理実施計画・実績報告等の一次情報を合わせて確認することをおすすめします。

この事例から学べること

単一の自治体の数字だけを見ていると気づきにくい変化も、同じ地域の複数自治体を横串で比較すると、統計上の「事件」が見えてくることがあります。山口県のケースは、リサイクル率という指標が、住民の分別行動だけでなく、広域的な処理・資源化の仕組みにも大きく左右されることを示す好例です。

本サイトのダッシュボードでは、都道府県内の市区町村を一覧で比較できます。気になる地域があれば、周辺自治体と合わせて推移を確認してみてください。

山口県内の市町別リサイクル率の推移を、ランキングとグラフで詳しく見てみましょう。

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