データ深掘り

福岡県のある地域だけリサイクル率が
「R94%→R'5%」になる理由

公開日:2026年9月16日/出典:環境省 一般廃棄物処理事業実態調査(令和元〜6年度)

日本ごみ処理ダッシュボードで「リサイクル率R」と「リサイクル率R'」の差が大きい自治体を探すと、以前取り上げた埼玉県日高市(差84.4pt)を上回る町が福岡県に複数見つかります。福岡県鞍手町は令和6年度でR94.5%・R'5.0%、差にして89.5ポイント。隣接する宮若市も同様の傾向で、この2町は全国でもトップクラスのR-R'ギャップを記録しています。

94.5%
鞍手町 リサイクル率R(R6)
5.0%
鞍手町 リサイクル率R'(R6)
89.5pt
R-R'の差(日高市の84.4ptを上回る)

1つの町の特殊事情ではなく、隣接する複数の町に共通

日高市のケースが「1つの自治体」の現象だったのに対し、福岡県のこのエリアでは、隣接する複数の自治体で同じパターンが見られます。福岡県北部、遠賀・鞍手地域に位置する鞍手町・宮若市・小竹町は、いずれもリサイクル率Rが90%台という高水準でありながら、R'は一桁〜10%台前半にとどまります。

福岡県北部3町のリサイクル率R・R'(令和6年度、環境省データより)
自治体 人口 リサイクル率R リサイクル率R'
鞍手町14,840人94.5%5.0%89.5pt
宮若市25,910人94.9%7.9%87.0pt
小竹町6,905人94.8%9.0%85.8pt
粕屋町48,848人63.5%8.9%54.6pt

日高市との決定的な違い:単年の特殊値ではなく6年間安定

鞍手町・宮若市・小竹町のR-R'ギャップは、令和元年度から令和6年度まで一貫してほぼ同じ水準で推移しています。鞍手町のリサイクル率Rは6年間ずっと93〜95%の狭いレンジに収まり、R'も4.6〜5.6%の範囲でほとんど動きません。前述の山口県の記事で見たような「ある年に急落する」パターンとは対照的に、この地域では特定の資源化手法が長期間・継続的に運用されていると考えられます。

この安定性は、日高市の記事で紹介した「焼却灰のセメント原料化など、R'算定時に除外される手法」を、この地域が制度として恒常的に組み込んでいることを示唆しています。鞍手町・宮若市・小竹町は地理的に近接しており、ごみ処理を広域の一部事務組合で共同運営しているケースが一般的です。同じ処理体制を共有する自治体で同じ現象が揃って見られることは、この仮説と整合的です。

粕屋町は少し違うパターン :福岡市に隣接する粕屋町は、人口規模がこの3町より大きく(約4.9万人)、リサイクル率Rも63.5%と3町より低めですが、R'は同程度の8.9%。R自体の水準は違っても、R'算定除外分の存在という構造は共通しています。
本サイトのデータには、各自治体がどの一部事務組合・処理施設を利用しているかという情報は含まれていません。上記の「広域処理体制を共有している」という説明は、地理的な近接性と数値パターンの類似性から導いた仮説であり、断定するものではありません。

この事例から学べること

リサイクル率の「からくり」は、1つの自治体だけでなく、同じ処理体制を共有する地域単位で現れることがあります。近隣自治体のリサイクル率が軒並み高い(あるいは低い)場合、それは住民の分別意識の差というより、地域全体の処理インフラの違いを反映している可能性を疑ってみる価値があります。

本サイトのダッシュボードでは、都道府県内の市区町村を地図上で比較できます。近隣自治体と数値がどれだけ似ているか、ぜひ確認してみてください。

福岡県内の市町村別リサイクル率を、地図とランキングで詳しく見てみましょう。

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