データ深掘り

滋賀県犬上郡の高リサイクル率は
なぜ忽然と消えたのか

公開日:2026年9月16日/出典:環境省 一般廃棄物処理事業実態調査(令和元〜6年度)

日本ごみ処理ダッシュボードの推移グラフで滋賀県の市町村を見ていくと、多賀町・愛荘町・豊郷町という3つの町が、福岡県のケースとは違う、もう一つの不思議なパターンを見せています。かつてはリサイクル率90%台という全国トップクラスの数字を記録していたのに、ある年を境に50〜70%台へ落ち込み、しかもその後は年によって数値が大きく上下しているのです。

94.9%
豊郷町 リサイクル率R(R1)
57.3%
豊郷町 リサイクル率R(R6)
63.1%
多賀町 リサイクル率R(R3、前後は90%台)

3町とも90%台からの下落は共通、しかしタイミングと安定性はバラバラ

愛荘町は令和元〜3年度まで89〜95%台を維持していましたが、令和4年度に57.0%まで急落。豊郷町は令和元〜2年度は94〜93%台でしたが、令和3年度にはすでに59.4%まで下がっています。多賀町に至っては、令和元〜2年度が93〜94%、令和3年度に63.1%まで急落した後、令和4〜5年度は76%・74%まで持ち直し、令和6年度には95.0%まで再び急上昇するという、年ごとに大きく揺れ動く動きを見せています。

滋賀県犬上郡3町のリサイクル率Rの推移(環境省データより)
年度 多賀町 愛荘町 豊郷町
R194.0%95.0%94.9%
R293.8%89.7%93.3%
R363.1%90.4%59.4%
R476.2%57.0%58.6%
R574.4%56.9%56.0%
R695.0%57.7%57.3%

福岡県北部の3町が6年間にわたって極めて安定した高い比率を維持していたのとは対照的に、この犬上郡3町は年度によって大きく数値が動きます。特に多賀町が令和6年度に単独で95.0%へ跳ね上がっている点は、何らかの理由でこの年だけ資源化ルートが復活、あるいは変更された可能性を示しています。

R'は比較的落ち着いている——変動しているのは「上乗せ分」

3町のリサイクル率R'(厳格な指標)は、Rほど激しくは動いていません。多賀町のR'は19〜23%の範囲、愛荘町は7〜15%、豊郷町は11〜31%の範囲で推移しており、Rの乱高下ほどの振れ幅はありません。つまり、変動しているのは主に「R'では除外される、焼却灰のセメント原料化などによる上乗せ分」であり、地域の基礎的なごみ処理能力自体が不安定になっているわけではなさそうです。

3町に共通する立地 :多賀町・愛荘町・豊郷町はいずれも滋賀県東部の犬上郡・愛知郡に位置する隣接自治体です。ごみ処理やリサイクル資源の受け皿を広域で共有している場合、その受け皿側の稼働状況の変化(受け入れ量の調整や一時的な停止など)が、複数の町の数字に同時に、しかし少しずつ違うタイミングで波及することが考えられます。
本サイトのデータからは、資源化ルートの詳細や広域処理組合の稼働実績までは分かりません。上記は年度別の変動パターンから推測した仮説であり、実際の要因を特定するものではありません。詳細は滋賀県や各町の廃棄物処理実施計画等をご確認ください。

この事例から学べること

「一時的に高かったリサイクル率が下がった」という現象は、必ずしも自治体の取り組みが後退したことを意味しません。むしろ、それまでの高い数字自体が、特定の資源化ルートに依存した一時的なものだった可能性があります。単年度の順位ではなく、複数年の推移を見ることで、その数字がどれだけ「地に足のついた」ものかを判断しやすくなります。

本サイトのダッシュボードでは、自治体ごとに令和元〜6年度の推移をグラフで確認できます。上位常連の自治体ほど、経年推移も合わせてチェックすることをおすすめします。

滋賀県内の市町村別リサイクル率の推移を、グラフで詳しく見てみましょう。

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